第4回「国登録文化財・島大旧奥谷宿舎(旧制淞高外国人宿舎)の保存活用を考えるワークショップ(参加型学習会)~戦後の旧奥谷宿舎に住まわれたアロンスタイン博士をめぐって~」開催。

■ 場所 島根大学(松江キャンパス)・教養講義室棟2号館・501教室
■ 日時 平成20年10月11日(土)  午前10時00分~11時30分
■ プログラム
1.挨拶「ワークショップ開催にあたって」10:00~10:05
  高安克己 (島根大学学術国際担当副学長・島根大学旧奥谷宿舎修復活用事業委員会委員長)
2.報告「写真でみる昭和20年代の新制島根大学と旧奥谷宿舎」10:05~10:30
  会下和宏・田中浩子(島根大学ミュージアム)
3.話題提供「アロンスタイン博士の英語教育」10:30~10:50
  池野誠(島根大学法文学部同窓会顧問・山陰文芸協会会長)
  伊藤亮輔(松江八雲会顧問・山陰日本アイルランド協会理事)
4.話題提供「アロンスタイン博士と国際交流」10:50~11:10
  金築修 (島根大学元学長)・常松正雄(島根大学名誉教授)
5.フリートーク・質疑応答 11:10~11:30

島根大学旧奥谷宿舎(旧制松江高校外国人宿舎)は、もともとは大正13年、旧制松江高等学校の外国人教師が居住するために建てられたものです。
 戦後になってからは、新制島根大学に受け継がれた昭和26~31年、バーソルド・アロンスタイン博士という米国から派遣された先生が暮らしていました。
 アロンスタイン先生は、毎週水曜日、旧奥谷宿舎のダイニングルームで島根大学の教官・学生・市民などを招いて英会話教室を主宰され、その温厚な人柄から「アロンさん」という愛称で親しまれていました。
 第4回のワークショップは,戦後になってからの旧奥谷宿舎に住まわれたアロンスタイン先生について,当時を知る方々に語っていただき,島根大学や島根県の英語教育に及ぼした影響、戦後間もなくの松江の国際交流の様子について話し合いました。
 当時、アロンさんと親交のあった4人の先生方に、思い出を交えながら語っていただき、アロン先生がいかに教育熱心で、生徒から尊敬されていたかを知ることができました。教育の大切さ、人を育てることがいかに重要なことかを改めて認識させられた意義のある会になりました。
 奥谷宿舎が修復された暁には、英会話教室や留学生の交流場所としても利用して、小泉八雲以来の国際交流のDNAを受け継いでいけたらと思います。
アロン先生の英語教育について語られる池野誠先生

アロン先生主宰の英語弁論大会や英語劇について語られる伊藤亮輔先生。英文和訳が中心だった戦前とは異なり、コミュニケーションのツールとしての英語教育をアロン先生から学んだそうです。

旧奥谷宿舎を舞台にした国際交流について話される金築元学長。
昭和50年代には、金築元学長も宿舎で暮らしておられました。

アロン先生のはからいで、フルブライト交換留学によりアメリカで学ばれた法文学部名誉教授・常松正雄先生。

■講演についての感想
・大変参考になりました。
・アロンスタイン先生の思い出、足跡、英語教師としての歴史的意義は大きいものであり、講演を通して再認識しました。
・写真の説明に参加者の方からの修正が入って面白かったです。帰国後のアロンスタイン博士の足跡を知りたいと思いました。関係する物品なども集めて頂けると良いと思いました。
・初めて参加致しましたが、「奥谷宿舎」の概略がつかめました。
・アロン先生、褒める教育・実用会話の体験学習型の重要性を感じました。また、アロン先生の教育に対する情熱を感じました。
・大変参考になりました。松江に生まれ育った私にとって奥谷宿舎は原風景の一つであり、Dr.カルシュ、Dr.アロンのお人柄供々、次の世代に伝えねばと強く願っております。それだけに、今回の様に奥谷宿舎について学べるチャンスは貴重でございます。どうもありがとうございました。
・アロンさんの事績がよくわかりました。私は松江高校に昭和29~31年の間在学しました。毎週のESSの集まりにアロンさんが指導に来られ、アメリカのハイスクールの言葉ゲームや英語劇の指導をされました。私の父の話では、奥谷宿舎には、松徳学園のシスターが住んでいたことがあったそうです。
・55年も前にタイムスリップして、懐かしい時間を持つことができました。今も英語を続けているのは、アロンさんのおかげかも。

■今後の島根大学旧奥谷宿舎の保存活用に対する意見
・私は日本建築史・都市史が専門です。建物の復元・評価が研究の中核です。もしよければ私の研究室においても、旧奥谷宿舎について研究のお手伝いができればと思っております。お声をかけていただければ幸いです。
・法文学部同窓会の事務局をしています。毎年発行する同窓会年報「淞喬」にアロンスタイン先生を紹介したいと思いました。同窓生でもアロンスタイン先生が島大におられた頃の文理期の方は関心が高いと思います。改めて相談させて頂きたいと思います。
・アロンスタイン博士杯英語弁論大会を復活させましょう!
・英語教育者アロンスタイン博士のお気持ちに即し、英会話サロンの復活が活用方法に適当かと思いました。
・イベントの一つとして英語劇を!!
・広く学外、特に松江市民、さらに地元町内の方との話し合い・ワークショップを行いながら保存活用をお願いします。大学関係者が町内夏祭を手伝うなど「大学から歩み出す」必要があると痛感しております。
・あの建物に懐かしい想い出を持つ人が、島大以外に多くいらっしゃるので、これらの人たちにも運動の輪を広げられるとよいと思います。
・国際交流センターとして活用しては?
・英語に限らず、アジア諸国の言語を学べる施設として活用できないか?これからは日本にとってアジアが大切と思います。

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