【島根大学の貴重標本類4】アオウミガメ標本


アオウミガメ標本(全長約85cm)
学名 Chelonia mydas  カメ目 ウミガメ科 アオウミガメ属
写真は,ウミガメの甲と頭の標本です。
島根大学教育学部に古くから所蔵されていたもので,現在は島根大学山陰地域資料展示室で展示されています。
捕獲場所は不明ですが,おそらく山陰地域のどこかで見つかったものとみられています。
本標本の背甲は,上から見ると楕円形で,中央板が5個,その両脇に側板が4個ずつあることから,アオウミガメであることが分かります。これに対し,アカウミガメの背甲は,ハート形で中央板が5個,その両脇に側板が5個ずつあるのが特徴です。
ウミガメは,海中を広範囲に回遊しており,山陰地域にやってくるのは,主に夏で,冬になると南下します。
5~8月頃,アカウミガメは,主に南西諸島から関東地域までの太平洋沿岸砂浜で産卵します。しかし,山陰地域の砂浜でも稀にアカウミガメが産卵ふ化していることが確認されています。
ウミガメは,おとぎ話「浦島太郎」にも登場し,長寿や子宝,豊漁の象徴とされる地域もあるなど,縁起の良い動物といえます。島根県雲南市から出土した,有名な加茂岩倉遺跡10号銅鐸にはウミガメの絵が描かれており,弥生人にとっても何らかの信仰対象であったのかもしれません。
このように人間とかかわりの深いウミガメですが,20世紀にはいってからの乱獲,護岸工事による産卵場所の減少などで個体数が激減し,現在は絶滅危惧種に指定されています。

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