第48回ミュージアム講座「真宗信仰の広がりから見た近世石見地域の特質」を開催しました。

本日午後、第48回ミュージアム講座「真宗信仰の広がりから見た近世石見地域の特質」を開催しました。

今回の講師は、近世史をご専門にされている島根大学法文学部准教授の小林准士先生です。

明治初期の統計によれば、石見地域にある寺のうち、54%は浄土真宗で占められていました(出雲地域は20.4%)。石見では、真宗信仰が大変盛んだったことが分かります。

記録によれば、江戸時代、こうした浄土真宗の僧侶と神職との間で、たびたび争論(裁判)がおこっていたようです。

一例としては、真宗寺院の境内にある、民俗信仰(大元・大歳と呼ばれる祭祀)の対象になっていた、ご神体の樹木を伐採するか、しないか、をめぐって寺と神職との間でトラブルがあったことが記録に残されています。

これは、石見地域において、それだけ真宗信仰が盛んだった一方で、森の神に対する民俗信仰が根をはっていたことに起因しているようです。

石見地域では、現在も、集落の中心に浄土真宗の寺が位置する景観をなし、地域に深く根ざした存在となっています。今回のご講演を聴いて、江戸時代には既に、石見の人々の生活のなかに、真宗が深く浸透していたことが分かりました。

次回は、「石見学I」シリーズの最終回、中近世における石見地域の陶磁器流通」です。ご期待ください。

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