第57回島大ミュージアム講座「小さな化石を利用した景観の復元」を開催


本日午後、第57回島大ミュージアム講座「小さな化石を利用した景観の復元」を開催しました。

今回は、島根大学公開講座「山陰の古環境を探る」(平成25年度ミュージアム講座第1ステージ)の第2弾になります。

講師は、島根県大学汽水域研究センター客員研究員の渡邉正巳先生でした。先生は、山陰各地の遺跡の土に含まれる花粉化石を多く分析されてきた花粉化石研究の第一人者です。本日は、縄文時代の遺跡から見つかる花粉の分析を通して、景観、植生、気候などを復元する研究についてのお話でした。

山陰各地におけるこれまでの花粉分析の結果、出雲地域では、スギが増えるのが、およそ2500年前くらいで、山陰他地域に比べて遅れると想定されています。この一要因として、三瓶山や大山の火山災害によって、スギが繁殖しにくい環境にあったことが考えられるそうです。

また、宍道湖・中海周辺地域では、およそ10000~9000年前頃は推定平均気温が10℃程度しかなく、今の青森県と似たレベルにあったようです。また、温暖化した約5000年前には約2500mmを測る年間降水量があり、今の高知県なみに雨が降っていた時期があったそうです。

気候や植生の急激な変化が危惧されている昨今ですが、こうした過去の環境変遷を知ることによって、将来に備えることにもつながると思います。そうした意味でも非常に意義深い講座となりました。

次回は、「島根県の化石探訪」(7/20)です。御参加をお待ちしております。

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