第62回ミュージアム講座「石器から鉄器へ-弥生時代・山陰地域の道具の移り変わり-」を開催しました。

本日午後、松江スティックビルにて、第62回ミュージアム講座「石器から鉄器へ-弥生時代・山陰地域の道具の移り変わり-」を開催しました。

今回の講座では、当館の会下和宏副館長(ミュージアム准教授)が講師となり、山陰の弥生時代の道具が、石器から鉄器へどのように移り変わっていったのかというお話をしました。

山陰地域では、紀元前1世紀頃の弥生中期後半には鉄器が使用されています。そして、紀元2世紀後半から3世紀前半頃の弥生後期後葉から終末期になるとより本格的に鉄器が普及するようになるそうです。

鉄器のなかでも、木を加工するヤリガンナ・刀子・袋状鉄斧などが多く普及しますが、木を切る大形伐採斧や鋤・鍬は少ないようです。したがって、弥生後期になると、石器のなかでも加工具である片刃石斧はほとんど見られなくなりますが、伐採斧である太型蛤刃石斧は残存して使用され続けるとのことです。

また、弥生後期になってから、鉄鏃が普及する一方で、引き続き、隠岐島産黒曜石や四国のサヌカイトで作られた石鏃も使用されているようです。

山陰地域で鉄器の出土量が特に増加する弥生後期後葉頃は、四隅突出型墳丘墓が大型化する時期でもあります。墳丘墓の巨大化から、うかがわれる首長の権威の増大は、こうした多量の鉄器の流通を掌握し、差配していたことと関係している可能性があるとのことでした。

次回のミュージアム講座は、今日の鉄の話の続編ともいうべき、「古代製鉄の系譜-日韓製鉄史の比較から-」(12/14)です。申し込みなしでも聴講できますので、お気軽にご参加ください。

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