第5回島根大学ミュージアム特別講座in広島 「考古学からみた出雲国風土記」を開催

本日、第5回島根大学ミュージアム特別講座in広島「考古学からみた出雲国風土記」を開催しました。広島での講座もこれで5回目です。

今回の講師は、古代史を考古学的立場からご研究されている大橋泰夫先生(島根大学法文学部教授)でした。

まず、古代の地方行政の中心となった国府(現在の県庁のような役所やその関連施設)についての説明がありました。『出雲国風土記』には、出雲国府の様子が記載されていて、これまでの発掘調査によって様々な施設が見つかっています。

30年前までは、国府といえば、平城京を縮小したような碁盤の目状の整然とした方形空間であったと考えられていました。しかし現在では、調査研究が進んで、都のような方形ではなく、国庁という建物や実務をとる施設、国司の住まい、工房などが、分散的に配置されていたことが分かっています。

また、出雲国府の工房では、玉作りを行っていたことが特徴です。一部は、都に貢納されたと考えられます。

こうした国府が全国的に成立した時期は、7世紀末と考える説8世紀第2四半期と考える説とがあり、律令国家の成立を考えるうえで論争になっているようです。これには、国府の発掘調査進展や木簡(文字が書いてある板)の解読、そして『出雲国風土記』の記述の解釈が鍵を握っています。特に、出雲国は、出雲国府をはじめとした遺跡や風土記が残っており、調査研究も進展しています。古代史の謎を解くうえで、出雲地域は全国的に大変注目されており、今後の研究成果がおおいに期待されています。

熱心に受講されている広島の皆様


コメント